素焼きの瓦屋根が美しいグラデーションを見せるＭ邸の外観。「イタリアのトスカーナ地方の家をイメージした」というだけあって、外観だけでなく、室内もこだわりがいっぱいです。コテ跡を残した塗り壁やオイル加工を施した床が、アンティークの趣きを残しつつ、異国情緒たっぷり。
　映画好きのご主人の希望で、リビングはウッディで落ち着ける空間に、ダイニングはリゾート風にと、空間ごとにテイストを変えているのも特徴。なかでも奥さまのお気に入りは、玄関から洗面やトイレにつながる廊下部分。コテ跡を大胆に残したアーチ型の天井には照明が反射して、まるで異国に迷いこんだよう。室内にはアイアンやレンガを取り入れたディテールの美しいコーナーが点在し、来客の心をとらえて離しません。さらに動線もスムーズで、 トイレや寝室などどの部屋へも行き来しやすく設計されており、間取りも秀逸。デザインだけでなく、動線にも配慮されているのです。
　そしてＭ邸にはさらなる機能が。M邸は、外断熱と換気、調湿システムなどを組み合わせた「ＦＡＳ（ファース）の家」なのです。家全体が呼吸する理想的な住環境として注目されている次世代住宅で、「モデルハウスに行った時、どの部屋も本当に心地良くて、空気が違っていたんです！」と奥さまはファース初体験の感動を教えてくれました。きれいな空気が循環しているうえに、快適な温度と湿度をキープ。さらに光熱費もお得な省エネ・エコ住宅は、人にも財布にもやさしいのですね。
　取材に訪れた日は、あいにくの雨。ところが、Ｍ邸は家じゅうを包むふんわりとした木の香りとクリーンな空気が漂っているのがわかります。それはまるで森の中にいるような心地良さ。見えるところにも見えないところにも、上質さが宿るこだわりの一軒です。